AI時代の検索エンジン施策|第1章(全文公開)
まず現状を数字で見る
サーチコンソールの「読み方」を実測で覚える
01-1この章でわかること
- GSCの「ページ」レポートに並ぶ「未登録の理由」9種類のうち、気にすべきは2つだけ。残りは放置してよい理由を、モニターサイトの内訳(未登録542件)で示します。
- 「登録済み」の数字が動いているのに、画面の「データ最終更新日」が2週間止まっている——GSCの数字は日次で動くものではない、という前提を実測で確認します。
- 1日に使える手動リクエストの枠(10件)と、URL検査そのものの上限(約75本)、そして「枠が数時間で戻る」挙動を、どう運用に組み込むか。
01-2何が起きたか(実録)——未登録542件の中身を全部分類した
序章で出した起点データ(2026-05-29)は「登録済み194/未登録540」でした。念のため繰り返すと、この起点は私が制作したばかりのサイトの数字ではなく、更新が止まっていた期間のある既存サイト(モニターサイト)の数字です。2025年3〜4月に作成されたまま本文が空の記事が5本残っていましたし、7月に公開された運営者様の申込ページは、Googleに404のまま6週間放置されることになります。運営者様と私は、そういう状態を出発点にしました。8月に入ってからの内訳を、GSCの「ページ」レポートで全バケット(理由別の箱)を開いて書き写したのが次の表です。
| 未登録の理由(GSCの表記) | 件数(2026-08-06) | 私の分類 |
|---|---|---|
| クロール済み - インデックス未登録 | 269 | 気にする(実記事が混ざっている) |
| 検出 - インデックス未登録 | 30 | 気にする(未クロール。放置すると永久に載らない) |
| 代替ページ(適切な canonical タグあり) | 156 | 気にしない(正しく重複処理されている) |
| ページにリダイレクトがあります | 68 | 気にしない(転送先が登録されていればよい) |
| 見つかりませんでした(404) | 11 | 気にしない(削除済み。ただし収益ページなら別=第2章) |
| noindex タグによって除外されました | 3 | 気にしない(意図した除外) |
| リダイレクトエラー | 3 | 一度だけ確認 |
| 重複しています(ユーザー/Google が正規ページを選択) | 1/1 | 一度だけ確認 |
| 合計 | 542 | 登録済みは493 |
(出典:GSC日次ログ 2026-08-05 第3回「GSC全バケット再確認」、08-06で同値を確認)
さらに8月26日、「気にしない」箱の中で最大だった「代替ページ(適切なcanonicalタグあり)」181件を1件ずつ分類しました。
| 「代替ページ」181件の内訳 | 件数 |
|---|---|
タグページに ?orderby=date ?orderby=popular ?orderby=modified が付いた並び替えURL | 172 |
タグページのページネーション(/tag/xxx/page/N/) | 8 |
| 実コンテンツ | 1(/blog/ のみ) |
(出典:GSC日次ログ 2026-08-26「成果④」)
つまり、181件の巨大な箱の中に、私が気にすべきページは1本しかありませんでした。逆に言うと、この172件は「登録されていない」ことより「クロールされている」ことのほうが問題で、これが第3章のクロールバジェットの話につながります。
同じ作業を「クロール済み-インデックス未登録」の箱でもやりました。7月19日時点で301行。URLの第1階層で機械的に分類すると、タグ・カテゴリ・日付アーカイブ・フィード・作者ページ・システムパス(wp-json wp-content 等)・休業告知・8文字ランダムURLが大半で、実記事の候補は80件、うち37件は削除済みの転送URLで、生存記事のうち過去に一度もリクエストしていないものは1件でした(出典:GSC日次ログ 2026-07-19)。
ここまでが「現状を数字で見る」の全体像です。542件という数字に怯える必要はありません。見るべき箱は2つ、その中で見るべきURLは数十件、というのが実態でした。
01-3なぜそうなるのか(根拠)——GSCの3つの前提
前提1:「未登録」の大半はGoogleが意図的に載せないページ
タグページ、日付アーカイブ、フィード、作者ページ、並び替えパラメータ付きURL。WordPressは自動的にこれらを大量に生成します。Googleはこうした「薄い・重複する」ページを見に来ても登録しません。それは正常です。モニターサイトの例では、記事290本に対してタグページ277件、並び替えパラメータ付きURL172件が生まれていました(出典:2026-09-07 第2回、08-26)。記事1本を書くたびに、その何倍もの「登録されないURL」をWordPressが裏で生んでいる、と思ってください。
前提2:GSCの数字は「日次」で動くものではない
これは私が一番長く誤解していたことです。GSCの「ページ」レポートには「データ最終更新日」が表示されます。私のログには次のような記録が残っています。
- 8月5日から8月6日にかけて、朝と昼に2回確認して「未登録542/登録済493、レポート最終更新日は2026/07/24のまま」。レポートは2週間近く止まっていました(出典:2026-08-06)。
- 8月13日、「最終更新日が08/07で3日以上凍結」。ここで私は「最終更新日が同じならバケットの中身も同じだから、走査を省略してよい」という手順を書きました(出典:2026-08-13 第1回)。
- ところが8月20日、画面上の日付が8/17で固定されたまま、登録済みが+38件動いていた。件数が動いていないように見えても中身は入れ替わっている。「最終更新日が同じなら走査を省略してよい」は誤りでした(出典:2026-08-20「⚠️ 手順書の前提を1つ訂正」)。
結論として、私は次の運用に落ち着きました。
「未登録の箱」のドリルダウン(一覧表)を開いて中身を読むだけなら、リクエストの枠を1つも消費しない。だから毎回必ず走査する。件数や更新日を根拠に省略しない。
前提3:使える「枠」は2種類あり、どちらも実測しないと正体がわからない
| 枠 | 上限 | 実測でわかったこと |
|---|---|---|
| インデックス登録リクエスト | 10件/日 | 「割り当て量を超えています」で停止する。ただし日付でリセットされるのではなく、数時間で回復するローリング枠(6月10日に仮説として記録し、8月23日に同日中に7件回収して確認) |
| URL検査そのもの | 約75本/日 | 8月〜9月に「プロパティのURL検査の割り当て量を超えています」が出て、検査自体ができなくなった。リクエストとは別の上限(出典:2026-09-04) |
(出典:GSC日次ログ 2026-06-10 第2回、2026-08-23、2026-09-04)
「数時間で回復する」は、私のAI秘書が一度「アメリカ太平洋時間の日付でリセットされる」という推論を要決裁の進言として書き、同じ日のうちに実測で撤回したものです。詳細は第2章の「失敗と学び」で書きますが、ここで言いたいのは、GSCの仕様は公式ドキュメントに書かれていないことが多く、自分のサイトで実測するしかないということです。
01-4どうやるか(手順)——あなたのGSCを「読める状態」にする
手順1:起点データを書き留める
GSC → 左メニュー「インデックス作成」→「ページ」を開き、次を書き留めます。
- 登録済みの件数
- 未登録の件数と、理由別の内訳(表の各行)
- 「データ最終更新日」
これをあなたの「起点」とします。3か月後に同じ表を作って比較するのが、第11章の計測ループです。
手順2:サイトマップの「本当の本数」を知る
WordPressの場合、/wp-sitemap.xml はインデックス(目次)で、実体は次の子サイトマップに分かれています。
| 子サイトマップ | 中身 |
|---|---|
wp-sitemap-posts-post-1.xml | 記事 |
wp-sitemap-posts-page-1.xml | 固定ページ |
wp-sitemap-taxonomies-category-1.xml | カテゴリ |
wp-sitemap-taxonomies-post_tag-1.xml | タグ |
モニターサイトでは、記事286本+固定ページ24本=310本が「気にする母集団」でした(出典:2026-08-26)。ここで2つの落とし穴があります。
/sitemap.xmlと/wp-sitemap.xmlは同じものの別名の場合がある(モニターサイトはそうでした。出典:2026-08-26「13個目の盲点候補を潰した」)。二重に数えないこと。- WordPressの外にある独立サイトマップは、wp-sitemap.xml に含まれない。モニターサイトでは
/member-course/sitemap.xml(私がWordPressの外に別システムとして提供した会員講座・13URL)が丸ごと母集団から漏れていました(出典:2026-08-20「7つ目の盲点」)。サブディレクトリに別システムを置いている人は要注意です。
手順3:サイトマップと「公開記事の総数」を突き合わせる
WordPressのREST API(/wp-json/wp/v2/posts)を呼ぶと、応答ヘッダー X-WP-Total に公開記事の総数が入っています。これとサイトマップの記事本数を比べると、サイトマップに載っていない記事が1回の確認で見つかります。モニターサイトでは282対281で1本の差が見つかりました(出典:2026-08-05「サイトマップ収録漏れの検出」)。
手順4:「未登録」の2つの箱を、1行ずつ分類する
「クロール済み-インデックス未登録」と「検出-インデックス未登録」のドリルダウンを開き、URLを次の基準で仕分けします。
| 除外してよい(気にしない) | 残す(気にする) |
|---|---|
/tag/ /category/ /2025/04/ 等のアーカイブ | 記事のURL |
/feed/ /author/ wp-json wp-content | 固定ページのうち、収益に関係するもの |
?orderby= 等のパラメータ付き | post-NNNNN 形式の記事(除外してはいけない。第2章) |
| 休業告知など期限切れの告知 | 8文字ランダムURL(一度だけ実体を確認。転送なら除外) |
「形が似ている」ことを根拠に除外しない。これがモニターサイトの運用で最も高くついた失敗で、第2章で詳しく書きます。除外は、実体を確認したホワイトリスト/ブラックリストで行ってください(出典:2026-08-25「教訓の一般化」)。
手順5:URL検査ツールで1本ずつ状態を見る
GSC上部の検索バーにURLを入れると、そのURLの状態が出ます。見る項目は3つです。
- 「URLはGoogleに登録されています」か、「登録されていません」か
- 「前回のクロール」の日時
- 「ページの取得」が成功しているか(404で取得されていた収益ページが、第2章の事件です)
未登録で、かつ実記事なら「インデックス登録をリクエスト」を押します。1日10件。上限に当たったら、数時間あけて同じ日にもう一度試す価値があります。
01-5数字(結果)——「読める」ようになると、やることが減る
現状把握を徹底した結果、日々の作業量はこう変わりました。
| 時期 | 1日の作業 | 備考 |
|---|---|---|
| 6月上旬 | 未登録リストを上から順に10件リクエスト | 8文字ランダムURLにも送っていた(無駄) |
| 7月下旬 | 実記事候補80件を抽出→未処理は1件 | 候補が枯渇 |
| 8月中旬 | 「候補0件」が4日続く | 枯渇ではなく除外ルールの誤りを疑い、全件再走査 |
| 8月下旬〜9月 | 差集合・更新日突合など5つの軸で毎回走査、送信は1回の起動あたり0〜6件(日合算では最大11件) | 送る価値のあるURLだけ送る |
(出典:92日間タイムライン(第12章・付録14-7))
9月7日時点の送信は1件です。「やることが減った」のは、サボったのではなく、読めるようになったからです。読めないうちは、毎日10件を機械的に送るしかありませんでした。
01-6失敗と学び
- 「最終更新日が同じなら走査を省略してよい」という手順は誤りだった(2026-08-20)。画面の日付が止まったまま登録済みが+38件動いていた。ドリルダウンの走査は枠を消費しないので、毎回やる。
- 「候補0件が4日続いた」ときは、枯渇ではなく自分の除外ルールを疑う(2026-08-13)。実際、8月8日には
post-NNNNの形だけで除外して実記事6本を漏らし、8月25日には末尾スラッシュの正規化漏れで実記事4本を、8月31日には「過去に送ったURL」を除外フィルタに使って未登録のまま残る5本を見落としていた。 - サイトマップは1つではない(2026-08-20、08-26)。
/member-course/sitemap.xmlはwp-sitemap.xmlに含まれず、13URLが母集団から漏れていた。逆に/sitemap.xmlはwp-sitemap.xmlの別名で、二重計上しかけた。 - GSCのレポートは古い。7月21日、「クロール済み-未登録」の一覧に載っていた記事をURL検査したら、既に登録済みだった。一覧は目安、URL検査が真実(出典:2026-07-21)。
- 枠の正体を推論で決めない(2026-08-23)。「PT(米国太平洋時間)の日付でリセット」という推論を要決裁の進言として書き、同日に実測で撤回した。実測に勝るものはない。
01-7あなたのサイトでの再現手順
01-8この章のまとめ
- 未登録542件のうち、気にする箱は「クロール済み-未登録」と「検出-未登録」の2つ。その中で気にする記事は数十件。
- GSCの数字は日次で動かない。画面の更新日が止まっていても中身は動く。走査は枠を消費しないので毎回やる。
- リクエスト枠は10件/日で数時間で回復するローリング枠。URL検査には別の上限がある。
- サイトマップは複数ある。母集団の漏れが、後の「盲点」の半分を生む。
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